大きく分けると、次のふたつの方法があります。
・夫婦が話し合いで合意する方法(協議離婚)
・裁判所の手続きを利用して離婚する方法
離婚原因について法律で規定されているわけではありません。離婚について争いの余地がなく、夫婦双方に離婚の合意がある場合に、届け出ることによって成立する離婚です。
夫婦間の話し合いが整わず協議離婚ができない場合に、家庭裁判所の関与により成立する離婚です。
調停離婚、審判離婚、裁判離婚の3種類があります。
離婚協議ができなかった場合、まず家庭裁判所に調停の申立をする必要があります。 家庭裁判所調査官の事実調査や調停委員の意見を参考に、当事者間で離婚の合意が成立する場合を調停離婚といいます。
調停が不成立の場合に、家庭裁判所が職権でこれまでの調停内容を考慮した審判をします。審判について2週間以内に異議申立がない場合に成立する離婚を、審判離婚といいます。
他方、調停が不成立の場合に、審判に移行しない場合や、審判に異議申立があった場合には,離婚訴訟を起こすことになります。訴訟により成立する離婚を裁判離婚といいます。なお、離婚訴訟で離婚を請求するには、法律で定められた離婚原因が必要です。
また、裁判途中でも、双方の歩み寄りにより和解して成立する離婚を和解離婚、訴訟を起こされた側が、起こした側の言い分を全面的に受け入れて成立する離婚を認諾離婚といいます。
次の場合に限って離婚の訴を提起することができます。
・配偶者に不貞な行為(貞操を守らないこと)があったとき。
・配偶者から悪意で遺棄(すてられること)されたとき。
・配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
次のような場合がありますが、認められるかどうかはケースバイケースのようです。
・暴力:一過性の暴力の場合は認められないこともあるようです。
・浪費:程度によりますが多額の借金、ギャンブル好き、勤労意欲の欠如など。
・飲酒癖:働かずに飲酒ばかりしている、飲酒の上で暴力を振るうなど。単なる飲酒好きという程度は原因とならないようです。
・性格の不一致:自己中心的な性格、わがままなどにより婚姻生活が回復し難いまでに破綻していると判断される場合など。
・親族との不仲:単なる嫁姑の不和程度では原因とならないようです。
・宗教活動:宗教観があまりにも違うため、婚姻生活が回復し難いまでに破綻していると判断される場合など。
有責配偶者とは不貞を犯した配偶者、暴力を振るった配偶者などのことです。その場合 相手方配偶者は、有責配偶者に対して慰謝料を請求することができます。
次のような場合に認められたケースがあります。
・別居期間が長い(概ね5年以上)
・未成熟の子供がいない(高校生未満)
・相手の配偶者が精神的・社会的・経済的苛酷な状況におかれない
次のような内容を盛り込み、そのうえで書類(離婚協議書)にまとめるほうがよいでしょう。
・未成年の子がいる場合の親権者、監護養育権者
・離婚後の姓と新戸籍の編成
・子の扶養料(養育費)
・財産分与
・慰謝料
・子との面会権
・現実の別居、離婚届の提出、荷物など
次のとおりです。それぞれの金額の基準はありますが、あくまでも話し合いによります。
どこの国の法律が適用されるか(準拠法)が問題となりますが、「法の適用に関する通則法」という法律によります。夫婦が日本に住んでいる場合、概ね日本の法律が適用されますので、協議離婚も裁判による離婚も日本人同士と同様の場合が多いです。とはいってもケースバイケースですので、詳しくは当事務所等の専門家にお尋ねください。
離婚後の手続(主に母親側のする手続)として次のようなものがありますが、それぞれ右に記載の役所窓口か専門家にお尋ねください。
身体的暴力を始めとして次のような暴力が含まれます。いずれか単独で行われるというより、複合的な形で起る場合が多くみられます。
都道府県が配偶者からの暴力について支援センターの機能を果たしています。まずはセンターや警察に相談をして下さい。センターでは、相談やカウンセリング、必要であれば保護施設の紹介、自立生活促進のための情報提供や援助を行ってくれます。
地方裁判所に「保護命令の申立」を行うことができます。命令の種類は、(1)接近禁止命令(6か月)(2)住居からの退去命令(2か月)これは、事実婚の相手・離婚した配偶者に対しても申立をすることができます。申し立てに基づき裁判所が加害者に対して命令を発します。これに違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
配偶者からの暴力を受けた状況などのほか、配偶者暴力相談支援センターや警察に相談した事実等があれば、その事実を記載します。事前に、センターや警察に相談していない場合は、公証人役場で認証を受けた書面を持参して下さい。公証人による書面の認証には費用がかかります(参考:平成26年7月現在1万1千円)。
この制度は、平成19年と20年の2段構えで仕組みが変わりました。
平成19年度4月から、婚姻期間中に該当する夫の報酬比例部分(老齢厚生年金)の最大2分の1を妻が受け取れるようになりました。これには夫の合意か裁判所の決定が必要となります。
更に、平成20年度4月からの新制度では、妻が社会保険事務所に申し出れば、夫の合意が無くても報酬比例部分(同)を半分もらえるようになりました。ただし、無条件でもらえる部分は、平成20年4月以降の婚姻期間についてのみとなり、それ以前の婚姻期間に関しての分は、やはり夫の合意などが必要です。
この制度を期待する方も多いようですが、無条件で半分獲得は現実には非常に難しいといえます。
注)年金の問題は、年齢や就労条件などによって個々のケースで大きく異なります。日本年金機構が提供する年金分割に関する情報提供サービス等を利用し確認するか、最寄りの年金事務所に年金手帳を持参しご相談下さい。
離婚届は双方に離婚意思があって初めて受理されるべきものですが、書面に不備さえなければ、たとえ夫婦の⼀方が離婚届を偽装、提出したものであっても離婚が成立してしまいます。このような事態になるのを防ぐために、「離婚届不受理届」があります。
この不受理届を提出しておくと離婚届は受理されなくなりますので、心配な方はもちろん、そうでない方も念の為に提出しておくことをお勧めします。
離婚届不受理申出書の提出は、原則として届出人の本籍がある市区町村の役所となっていますが、本籍地以外の市区町村に提出することもできます。
提出の際は本人確認が出来るもの(免許証、パスポートなど、顔写真の付いたもの)と、印鑑(認印で可) が必要です。
当事務所においても、離婚に関する相談(行政書士の業務範囲の相談に限る)、離婚協議書の作成、離婚契約公正証書作成のお手伝い等広く離婚に関する相談をお受けしています。
~出典「大阪府行政書士会HP」